タイトルメーカー

 かなり前の事になりますが、「お題イラスト」というものを遊びで描いた事があります。”診断メーカー”なるツールを使って描いていました。
 診断メーカーというのは、データバンクのようなものに言葉を詰め込んでおいて、それをランダムに組み合わせていくつかの言葉のつらなり、文章などなど、そんなものを作り出すものです。ツイッターをしている方はタイムラインでよく見かけるのではないでしょうか。
 絵を描きながら私は思いました。これを自分で作ると楽しそうだなと。楽しそうだな、というより、便利そうだなといった方が正しいかもしれません。
 というのも、私はタイトルを作るのが苦手だったからです。
 漫画を描いていると、1本につき、時には1つのお話の中の1話1話につき、タイトルを考えねばなりません。
 私はそれがとても苦手でした。
 テーマをそのままタイトルにすればよいかというと、そういうものでもなく、なんといいましょうか……難しいです。セリフを考えたり文章そのものを考えたりするときには、表現したいものの前後左右、そして上下に余裕があるものですから、いろいろとこねくりまわすすべがあります。いえ、決して「誤魔化すすべ」ではありません、形を作っていくすべです。タイトルを考えるのはセリフや文章を考えるのとは全く別の作業に、私には思えます。コピーを考えるのと似ているのかもしれませんね。とにかく苦手でした。

 そんなワケで、診断メーカーで、タイトルメーカーを作ってみる事にしました。
 作り始めてしばらくして、作業ツールを診断メーカーからエクセルに変えました。エクセルの方が自由度が高かったからです。こういうツールはエクセルしか知らないくせに、「エクセル最高や!」と、ヤタラエクセルをほめたたえながら作業をしていました。
 そして、私のアホさからくる数々の困難を乗り越え、私のタイトルメーカーは完成します。
 タイトルのタイプをいくつか作ってF9キーを叩くと、それぞれが言葉を入れ替えるという塩梅です。次々とワケの分からないタイトルが作られます。
 今一度実際にF9キーを叩いてみると……

「精神科よあれが守れない花火だ」(翼よあれがパリの灯だ的タイトルみたいな……)
「夏ミカンの奪えない大雪」(存在の耐えられない軽さ的タイトルみたいな……)
「追憶を欠席して」(ライ麦畑でつかまえて的タイトルみたいな……)
「バスケットボールとヒジテツ」(……?)
「保証はしません精神科」(??)
「醤油ウマウマ」(!?)

 こんな塩梅で、他にもまだパターンはありますが、無作為に選ばれた言葉たちが作ったタイトルっぽいものが並びます。
 前述のタイトルたちの中で、私が一番役に立ちそうだなと思ったのは「バスケットボールとヒジテツ」です。それと「保証はしません精神科」「醤油ウマウマ」もなかなかイカしています。
 感覚的にそう思ったのですが、何を基準にイカすか否かが決まってくるのかなと考えてみました。基準は、そのタイトルから連想や妄想がどれだけ暴走するかという事だろうと、私は思います。タイトルメーカーの作り出すイカすタイトルは、私の頭の中にとどまって、アレコレ想像させ続けるホロウポイント弾です。貫通しては意味がないのです。
 そうして、やっとできたタイトルメーカーでタイトルを出しまくり、ぼんやりしている内に、これはネタメーカーとしての方が価値が高いなと思えてきました。ネタを作る事にあまり苦労してこなかった私ですが、この頃少し苦労する事があるので、とてもうれしい事でした。
 なぜ苦労する事がでてきたのかというと、トシとかではなく、4コマ漫画を描くようになったからです。
 4コマ漫画を描くよりはストーリー漫画を描く方が断然好きなのですが、筋トレという意味合いをかねて始めた事なので、苦労してもやめるわけにはいきません。
 4コマは、5本ひとかたまりで更新する事を考えているので(2本と3本の2回更新に分ける事が多いですが)、なんとなく、ストーリー漫画の1話が4コマの5本のような感覚です。ストーリー漫画なら1つのネタを出せばよい所を、5つ考えねばならないワケです。
 タイトルメーカーを作ってよかったと思っています。
 無作為に組み合わされた一見ギャグのようなタイトルが頭に飛び込んでくると、想像ドライブが始まります。ベタ踏み坂もなんのその、ヤバいと思えばまたF9キーを叩くのです。

 さて、4コマが筋トレならあひるカフェの文章を書くのはランニングだという事で、あひるカフェは、毎回ネタマシン……タイトルメーカーを使って次回以降書いていこうかなと思います。せっかくのタイトルメーカーだから、最大限活用していかねば!